スポーツ整形外科・一般整形外科・リハビリテーション科

コラム

コラム~肩関節脱臼②~

2015/10/8

前回に引き続き、肩関節の脱臼についてお話します。

 

肩関節脱臼には外力による外傷性と非外傷性があります。

肩関節は大きな可動域を持つ反面、その分だけ不安定な状態にあると言えます。

肩関節は骨による支持性が低い分を軟部組織と呼ばれる関節包や靭帯、腱板などによってカバーされていますが、スポーツでの接触や転倒などによる外力が加わると支えきれず脱臼してしまうこともあります。

 

 また、肩関節が脱臼する方向として、前方、後方、下方の3つがありますが、外力による脱臼のほとんどを占めるのが前方への脱臼です。

腕の姿位では、肩関節の外転(体の横から腕を開くような動き)、外旋(腕を親指側へ捻じるような動き)、水平伸展(腕を肩の高さまで上げた状態で背中側へのばす動き)となります。

脱臼受傷機転

 この理由として、解剖学的に肩関節前方の支持性が低いことが挙げられます。日常での一例では、転倒した際に腕を開き(外転)、伸ばしたまま手をついてしまい、腕が背中にまわる(水平伸展)ような衝撃がかかってしまい、脱臼に至ります。その為、肩甲骨の関節面に対して上腕骨が前方に外れてしまうことから、前方への脱臼が多くなります。 

 脱臼した際には、関節周囲にある組織の損傷を伴う場合があります。その代表的な例が、Bankart病変とHill-Sachs病変です。

Bankart病変とは、脱臼時に骨頭が関節窩に衝突し、関節唇の前下方部が剥がれることや、摩耗や欠損することです。 

バンカート

Hill-Sachs病変とは、脱臼時の骨頭と関節窩の衝突により、骨頭の後外側に陥没骨折が起きることです。

ヒルサックス

 

 これらの病変をきたすことで、脱臼を整復後も病変部位への外力には弱くなり、脱臼を繰り返してしまうことが多くなります。これを反復性脱臼といいます。脱臼を繰り返すことで更に軽微な力によって脱臼をしやすくなってしまうので、しっかりとした整復や治療が必要となります。

 

今回は、脱臼が起きる流れや起きた際に生じる事についてお話しさせて頂きました。

次回は、治療について説明させて頂きたいと思います。

PAGE TOP